【プロが解説】リールのトラブル別原因と対策完全ガイド|異音・ゴリ感・逆転の正体とは?

釣りの最中に突然リールから異音が…。「ゴリゴリ」「シャリシャリ」という違和感、ハンドルの逆転、ドラグが効かない。こんな経験、ありませんか?
熊本でリールオーバーホール専門店「gearshop」を運営する私たちは、これまで2,650台以上のリールを整備してきました。その経験から断言できます。リールのトラブルの9割以上は、早期発見と適切なメンテナンスで防げます。
今回は、釣り人なら誰もが一度は経験するリールトラブルについて、その原因と対策を徹底解説します。この記事を読めば、あなたのリールが今どんな状態なのか、そして何をすべきかが明確になるはずです。
【症状別】リールに起こる代表的なトラブル7選

1. ゴリ感・ゴリゴリ音|最も多いトラブルの正体
ハンドルを巻いたときの「ゴリゴリ」という感触。これはリールトラブルの中で最も相談が多い症状です。
主な原因
- ベアリングの塩がみ・錆び・摩耗(原因の約70%)
- ギアの摩耗や破損
- 内部への砂やほこりの混入
- グリス・オイルの劣化や不足
- ワンウェイクラッチやシャフトの曲がり・錆
特に海水での使用後、水洗いを怠ると塩が結晶化してベアリングに「塩がみ」が発生します。これが進行すると完全に回転不良を起こし、最悪の場合ベアリング交換が必要になります。
初期症状のサイン
- 巻き始めだけゴリゴリする
- 負荷をかけると違和感がある
- 以前より巻き心地が重くなった
このサインを見逃さず、早めのオーバーホールで部品交換を最小限に抑えられます。
2. シャリ感・シャリシャリ音|ラインローラーの悲鳴

リールを巻くと「シャリシャリ」「ジャリジャリ」という細かい異音。特にラインを通したときだけ音がする場合は、ラインローラー内部のベアリング異常がほぼ確実です。
ラインローラーが危険な理由
ラインローラーは実は防水性能が十分でない部分。海水が侵入しやすく、ベアリングが錆びたり固着したりしやすい箇所なんです。
ラインローラーが回転していない状態でラインを巻くと、ラインが金属に直接こすれ続けます。これはライン強度の低下に直結し、大物とのファイト中に突然ラインブレイクする原因になります。
対策方法
- 釣行後は必ずラインローラー部分を水洗い
- 定期的にラインローラー専用グリスで注油
- 異音が続く場合はベアリング交換
3. ハンドルの逆転|ワンウェイクラッチの限界

根掛かりを外すために強く引いた瞬間、突然ハンドルが逆回転し始めた…。これはワンウェイクラッチ(逆転防止機構)の不具合です。
逆転が起こる原因
- ワンウェイクラッチへの過剰なオイル侵入
- クラッチ内部のサビや不純物による削れ
- ローラークラッチの摩耗
- カム面とローラーの接触面圧低下
ワンウェイクラッチは精密な機構で、内部に余分なオイルが入り込むと潤滑が効きすぎて滑ってしまいます。また、経年劣化で摩耗すると接触面の圧力が保てなくなり、急な負荷で逆転が止まらなくなるのです。
やってはいけないこと
- リール内部に多量のオイルを注す
- 分解メンテナンスでワンウェイクラッチ部分に不適切なグリスを使う
この症状が出たら、パーツ交換が必要なケースがほとんど。プロにオーバーホールを依頼するのが確実です。
4. ドラグが効かない・滑る|ドラグワッシャーの寿命

ドラグを締めているのに糸が出てしまう。これは大物を逃す原因になる深刻なトラブルです。
主な原因
- ドラグワッシャーの摩耗
- ドラグ面への油分の付着
- 水の混入による性能低下
- スプール上での糸滑り現象(PEライン使用時)
特にPEラインは表面が滑りやすいため、巻き始めをしっかり固定していないと「糸滑り現象」が起きます。これはリールの故障ではなく、ラインの巻き方の問題です。
対策
- ドラグワッシャーの洗浄または交換
- ドラグ面に専用グリスを薄く均一に塗布
- PEラインは巻き始めをテープで固定、または下巻きにナイロンを使用
5. 異音(ギア音)|内部パーツの摩耗警告

ハンドルを巻くと「ガラガラ」「カリカリ」とギアが噛み合っていないような音がする場合、ギアの摩耗や破損が疑われます。
危険度が高い理由
ギアの摩耗が進むと、突然ギアが欠けてリールが使用不能になる可能性があります。また、ギア間に異物が挟まっている場合、さらなる破損を招きます。
この症状が出たら、すぐに使用を中止してオーバーホールに出してください。使い続けると修理費用が高額になります。
6. 巻きが重い・回転が悪い|複合的な劣化サイン

新品時と比べて明らかに巻きが重くなった場合、以下の複合的な原因が考えられます。
原因
- 全体的なベアリングの回転不良
- グリスの固着・乳化
- ギアの摩耗
- 内部パーツの変形・曲がり
特にグリスの乳化は深刻です。内部に水が入り込むとグリスと混ざり合い、白く濁った状態になります。これが進むと完全にパーツを覆い、回転を著しく妨げます。
7. ラインが片寄る・糸ヨレがひどい|ローター・ベールの歪み

スプールにラインが均一に巻けず、片側に寄ってしまう。これはオシレーティング機構の不具合やベールアームの歪みが原因です。
放置すると起こること
- ライントラブル頻発
- キャスト時のライン放出不良
- バックラッシュの原因
この症状は自力での修正が難しく、専門店での調整・部品交換が必要です。
【重要】トラブルを放置すると起こること
多くの釣り人が「まだ使えるから大丈夫」と考えがちですが、これは非常に危険です。
修理費用の増大
小さなトラブルを放置すると、他のパーツまで損傷が広がります。例えば、ベアリング1個の交換で済んだものが、ギア全体の交換が必要になり、修理費用が2〜3倍に跳ね上がるケースも珍しくありません。
釣果への直接的影響
ドラグ不良や回転不良は、大物とのファイト中に致命的です。数年に一度のランカーバスや座布団クラスのヒラメとの出会いを、リールトラブルで逃すことほど悔しいことはありません。
安全面のリスク
特にオフショアジギングなど、大型魚を相手にする釣りでは、リール不調が重大な事故につながる可能性もあります。
【予防が最強】トラブルを防ぐ日常メンテナンス

釣行後の基本ケア
- 水洗い・濡れたタオルで拭く:流水で塩分・砂を洗い流す(弱冷水シャワー推奨、決してドボン漬けしない)
- 水分除去:タオルで水気をしっかり拭き取る
- 乾燥:風通しの良い場所で完全に乾燥させる
洗い方に関しては諸説ありますが、預けられるリールをたくさん見ていると、洗浄時の水分流入が故障原因であることが多いです。一般的に知られている軽いシャワーでも水が入ってしまい、グリスやオイルが本来の機能を果たさずベアリングやギアが摩耗しているケースがかなり見られます。
洗浄自体はかなり軽めでいいと思います。
月1回の簡易メンテナンス
- ハンドルノブへのオイル注油
- ラインローラー部分へのグリス補充(マグシールドは×、シマノも特殊グリス使用)
- 外装の汚れ除去
- ドラグの動作確認
年に1回のオーバーホール
ここが最重要ポイントです。
日常メンテナンスだけではリール内部のトラブルは防げません。ベアリング、ギア、ワンウェイクラッチなど、分解しないと確認できない部分の劣化は確実に進行しています。
オーバーホールの効果
- 内部の塩・汚れの完全除去
- 全ベアリングの洗浄・注油
- ギアの点検・調整
- 摩耗パーツの早期発見・交換
- 新品時の巻き心地へ復活
特に海水での使用が多い方、週1回以上釣行する方は、年に1回のオーバーホールが理想です。使用頻度が少なくても、最低2年に1回は必ずプロの点検を受けましょう。洗ったり水没などがなければ淡水などは数年間の使用で問題ないです。
メーカー?民間業者?オーバーホールの選び方
メーカー(シマノ・ダイワ)に出す場合
メリット
- 純正部品使用の安心感
- 全国の釣具店から依頼可能
- 技術料が安い
デメリット
- 納期が長い(2、3ヶ月)
- ベアリング料金が高め
- 繁忙期はさらに遅延
民間専門業者に出す場合
メリット
- 納期が早い(通常2週間程度)
- ベアリング料金が比較的リーズナブル(高いものもあります。)
- カスタマイズ相談が可能
- カスタムしているリールも対応可能
- きめ細かい対応(やるとりができる)
デメリット
- 業者選びが重要
- 技術力に差がある
- 技術料が高い
【熊本の釣り人へ】gearshopのオーバーホールサービス
私たち「gearshop」は、熊本を拠点にリールオーバーホール専門店として、これまで2,650台以上のリールを整備してきました。
料金
通常納期:約2週間程度
※時期やタイミングにより変化します。
少しでも違和感を感じたら、それがオーバーホールのベストタイミングです。
リールトラブルは「予防」が9割
リールのトラブルは、突然発生するように見えて、実は長期間の劣化の積み重ねです。
✅ ゴリ感・異音は内部パーツからの警告サイン
✅ ハンドル逆転は即座にメンテ
✅ 日常の水洗いで8割のトラブルは防げる
✅ 年に1回のオーバーホールが最強の予防策
✅ 早期発見・早期整備で修理費用を最小化
あなたの相棒リールは、適切なケアで5年、10年と長く活躍してくれます。逆に、メンテナンスを怠れば、高級リールでも2〜3年で深刻なトラブルに見舞われます。
大切なのは、トラブルが起きてから対処するのではなく、トラブルを起こさせないこと。
釣行後の3分間の水洗いと、年1回のオーバーホール。この習慣が、あなたのリールを守り、最高の釣果をもたらしてくれるはずです。
リールの調子に少しでも不安を感じたら、ぜひ一度プロの診断を受けてみてください。きっと、新品時の滑らかな巻き心地が蘇りますよ。
※gearshopでは電動リールのオーバーホールは承っておりません。ご了承ください。

